にせいの日記

「自分の好きなものってなんだろう?」という疑問を解決するために、気が向いた時に好きなことを書いてみて、「自分の好きなもの」をあぶり出そうと試みています。

ロマンティック数学ナイト@オンライン #15

ロマンティック数学ナイト(通称:ロマ数)というイベントに参加しました。

romanticmathnight.org

ロマ数は、過去に「ロマンティック数学ナイトプライム@北海道 #2」「ロマンティック数学ナイトプライム@ゼータ」「ロマンティック数学ナイトプライム@筑波大学」に参加させてもらったことはありますが、本家は今回が初参加でした。*1

で、感想としてはめちゃめちゃ楽しかったので、久々にブログを書きます。

◎ロマンティック数学ナイトの良かったところ2つ

(1)いろんな数学の世界を垣間見ることができる

自分が大学を出る頃(10年前くらい)までの数学といえば、「高校までで勉強する数学」と「大学より先で勉強・研究する数学」の二つしかないイメージで、自分は「前者は特に抵抗ないけど好きでも嫌いでもなく、後者は自分には関係ない世界*2」という認識でした。しかしその後、「趣味で楽しむ数学」という第3勢力の存在を知り*3、敷居の低そうな数学イベントにちょっとずつお邪魔する形で、数学の世界の楽しい部分を知るようになりました。
今回のロマ数では、数学教育的な話と日曜数学的な話と遠い世界の話を全部聞くことができて、さらにそれぞれに(たぶん)別のジャンルの話をしていて、結果としていろいろな人が「自分にとって楽しい数学」に出会えるようなイベントになっていたと思います。

うちはトップバッターのmattyuuさんの1729の話で、これまで名前だけは聞いたことのあった「楕円曲線」をほんの少しだけ知ることができた気がして嬉しかったです。知識が増えた・理解したということではないけれど、自分の中に楕円曲線のイメージが一瞬入ってきて、「え、じゃあこれはどうなの??」という疑問が自分の中から湧き上がってくるのを感じてドキドキしました。

辻さんの話は発表より前に個人的に聞いていて、これもまた今まで無かった「2次体」という世界が自分の中に突然存在するようになって、非常に感動しました。「もう何年も耳にしながら理解できずにいたものがついに…!」という感動。世界は広ければ広いほどいいというわけじゃなく整数論の問題を解決するためにちょうどいいサイズの世界を考えちゃうとか、居心地の良いところを探す猫みたいですごく好きです。当日の発表も、いつものように楽しそうで良かったですね。

他の発表でも「図形を特徴で表記する」「点の移動の関係性を結び目で分類する」などの発想を知ることができて、とても面白かったです。

(2)「わからない」を楽しめる

司会のタカタ先生を中心として、イベント全体が「わからないでも楽しんでいいんですよ!」というメッセージを発信し続けてくれているから、内容がさっぱりわからない発表でも安心して楽しめます。自分の全然知らない・興味のわかない世界でも、こんな世界を面白がる人もいるんだなぁ・楽しそうだなぁという気持ちで眺めればよいのです。
オンライン開催ではさらに、周りの人の目を気にする必要が一切無いので、よりリラックスして楽しめました。(会場だと周りにあわせて笑ったりリアクション取ったりした方がいいのかなとか気にしてしまって疲れるもので…。)

◎オンライン開催の良かったところ3つ

特に今回はオンライン開催というのが個人的にはとてもありがたいことだらけだったので、むしろ感想のメインはこっちです。

(1)交通費がかからない

今回のロマ数は、tsujimotterさんとmattyuuさんが発表されると聞いて参加しました。ただ正直、オフラインだったら9割方参加しなかっただろうと思います。

だって参加費に加えて往復の交通費で3万円だよ?さらに移動時間が約6時間。1泊以上で宿が必要なら宿泊費もかかる。数学が大好きだったり他の用事もあったりすれば参加は検討するけど、それでも学生さんにはなかなかオススメしづらいし、「ちょっと興味ありそうかなー」くらいの人を誘うなんてありえない。

こんなことを考えて、結局ローカルなイベントを開くということは、他地方からの参加者のチケットに数万円を上乗せする行為なんだなぁと改めて思いました。
特に、そのジャンルに強い興味をもつわけでない「ライト層」を対象とするなら、参加のハードルは下げられるだけ下げるのが望ましい。今までは「各地域で開催する」ことがその方法の主だった(と思い込んでいた)けど、「オンラインでできることはオンラインで」が当たり前になったこの世界では「オンライン開催」が手段のひとつになったんですね。

なお、今回はあまりに楽しかったので、応援の気持ちも込めてオリジナルグッズのパーカーを購入しました。それでも交通費の6分の1。ありがたや。

(2)とにかく参加が楽

Zoomが使える通信環境さえ整っていれば、ちゃんとした服を着る必要もないし、荷造りする必要もない。ごはんを食べるのもトイレに行くのも自由。寝転がって観ても、合間に何かしながら観てもいい。*4
こんなに楽なら、他の人をお誘いする(参加をオススメする)ことも気軽にできちゃうなぁと思いました。

(3)ツイートしやすい

通常のイベントではどうしても前方のスライドを観ながら話を聞くので、手元でツイートしたりメモをとったりするのが大変だけど、同じPCで視聴画面とtwitterを開いておけば気持ちのままにツイートできるし、スクショも楽々です。
ツイートできると何が良いって、発表中に他の人の感想や考えてることを読んで理解を深めたり面白がったり、自分の発言に共感してもらったりできるのが楽しいんです。さらに、自分がどんなことを考えたかがちゃんと記録に残ってくれるのも面白い。今回は、終了後や翌日になってからも振り返って楽しみました。

◎その他雑感

そんなわけで、昨日はとても楽しかったです。ありがとうロマ数。ありがとうインターネット。

終了後はすぐ現実に戻ることができず、数人でZoom二次会をし、ごはんを食べながら振り返ったりしました。イベント後の余韻を楽しむための二次会も、お店を探す必要もなく開催できて楽ちん。

あと、これまでの「会場でやっているイベントをオンラインでも配信します」というイベントでは、進行がやはり会場にいる人優先になりがちでオンライン視聴者は「蚊帳の外」感が拭えませんでしたが、参加者が全員オンラインだとその点も満足度が上がって良いなぁと思いました。

うまく締まらないけど今日はここまで。


*5

*1:「プライム」というのは、ロマ数のフランチャイズ版みたいなやつらしいです。中身がどんな風に違うのかは本家を知らないからよく知らない。

*2:特に大学1年で罹患した線形代数アレルギーはまだ治ってない…

*3:この点に関しては、「日曜数学」という名付けの力が本当に大きいと思う

*4:目的の発表以外は半分BGM気分で作業できるかなと思って参加したら全部面白くて並行してやろうと思ってたことが全く進まなかったけど悔いはない。。

*5:最後に、ロマ数のことからは少し離れて、ここ最近でオンラインイベントの開催について思ったことを少しメモ。 まず、なんのためにやるのか・どんな人に参加してほしいのか・どんな空間を作りたいのかということは(オンラインで開催するかどうかに関わらず)よくよく考えて共有することが大事。「やろうと思えばなんでもできる」からこそ、目指すところをちゃんと見定めないとイベントの個性が死に、他の企画との差がわからなくなる。 現時点でのオンライン開催で一番大変そうに思えるのは、配信環境の整備。複数の人が関わるものであればリハーサルは必須。不安があるなら動画の活用も手なのかも。 参加費は、場所代が無い分取らなくても済むのかもしれないけど、それよりは少しくらい取った方が参加者側も「せっかくだからできるだけ楽しもう」という心理が働くので、イベント自体にも良い影響を与えるのかもしれない。今回のロマ数の「学生観覧無料」も良い手だったと思う。どれだけの責任に応えられるかは要検討。 あと、イベントが終わった後に余韻に浸れるような工夫もあると参加者には優しいのかもしれない。アンケートとかは直後に配信したら回答してもらいやすい…かも? それからオンラインベースでの企画準備は相手が何をどこまで考えているのかがわかりにくいから、通常よりも密に連絡を取り合うことを心がけたいし、その上で信頼できる人と組むのでないと大変かもしれないと思う。顔見て話せるならその機会は設けた方がいいけど、そればかりに頼ったらたぶんだめ。 今のところ特に新しいイベントを企画する予定はないけれど、もう少しいろんなイベントを見て勉強して、いざというときにやりたいことができるようにしておきたい。